けおされた

mind manifesting. (自分の非日常について書きます)

AUSTIN PSYCH FEST 2013に行ってきたよ ③

 AUSTIN PSYCH FEST 2013に行ってきたよ③

 2013/4/27(土) シェイクシェイクシェイクの巻

 

 二日目。アマンダとかいう人にホステルで話しかけられたが、2時に出るらしいので自分は一人で正午にタクシー。Austin Cabで行った。

 体調が大分マシになっていて、しかもラストのテントステージが大本命の日とあって、何やらテンションが高いのだった。

 

 

 

 朝一番のLSD & The Search For God。期待通り、しかもこっちの気分もHIGHなので甘美なシューゲイズサウンドにどハマリ。いつも通り一人でユラユラしていたのだが、ギターの人と目が合った時に苦笑していたので、よっぽど俺のスタイルは傍から見て変なのだろう(どうでもいいが高校の頃の俺は授業中に揺れていたらしい、教師曰く)。

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 --LSD & The Search For God

 

 前の方にビリーがいたので挨拶した。その後紹介してくれた友達は…多分ネットで既に知っている人だったのだが、気付かなかった。英語わからんし。

 

 

 JJUUJJUU。ワイルドな印象だがあんまりピンと来なかった。

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--JJUUJJUU

 

 ところで、レイクステージの近くには謎の牛さんの像があって、これは何なのかな?テキサスっぽいからかな?と思いつつ、何となく写真を撮っておいたりしたのであった。伏線

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 この日は暑くてしんどかった。BJMのステッカーとバッジがそれぞれ$1。前年出演者などのCDも一枚$10でお買い得だったので、Asteroid#4とThe Blue Angel Loungeのアルバムを購入。

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 Young Magic。ちらっと見ただけ。

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--Young Magic

 

 

 CAPSULA。会場を散歩しながら聴いたけど、かなりかっこよかった。たぶん代表曲であろう、「コミュニケーション」がいい感じだった。

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--CAPSULA

 

 

 Vinyl Williams。これも割りとシュー寄りのサウンド。気分が高揚していた俺は一人でスマホを使って何やら絵を描いていた。要するに良かったけど記憶に無い

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--Vinyl Williams

 

 

 ラム・コークを飲んでWoodsmanへ。二人組のインストバンド。この頃には少々酒が回ってしまっていたのだが、「程よい疾走感とフィードバックがキレイ」「酔ってるので何見てもおもしれー」とメモしてあった。何だそれ

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--Woodsman

 

 

 早いうちに晩御飯を食べることに。BAHN MIとかいう謎のフード。要するに野菜たっぷりのチキンサンド。なかなかヘルシーで良い選択だったんじゃなかろうか。

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 Night Beats。またしても徘徊しながら聴いていたが、FUZZギュンギュンのガレージサウンドがクールだった。この頃になると日差しがやばかった。

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--Night Beats

 

 

 Boris。あふれるドライアイスの中、ドゥームな重低音とアンビエンスなナンバーを交互に奏で、会場のムードは少しスロウで神秘的に。自分の耳はあまりヘヴィでドローンなものを求めていなかったので遠くはなれて楽しむ。テントステージのBlack Bananaも何やらデカイ音とエクスペリメンタルな音を交互に出していたので、あっちが聴こえたりこっちが聴こえたりしておかしかった。

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--Boris

 

 

 Black Mountain。本命のために体力を温存することばかり頭にあったのだが、Reverbarationステージにいたブラック・マウンテンすっかりやられてしまった。美しい。キーボードが単純にコズミックかつ色鮮やかで、またそれがバックの映像にマッチしていてたまらなかった。低音の響きはがっしりとしているのに、ゆらゆらと夢の世界に誘うような感覚をもたらす音で、光に溶けるような甘いニュアンスがありました。そういうイメージでもなかったんだけどな、ブラック・マウンテン。

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--Boris

 

 

 Man Or Astroman?。ここまで来たらテントから離れないぞ、という気分にモードチェンジ。レトロフューチャーな宇宙船演出もグッド。無重力世界を駆け抜けていくようなジャキジャキした音速サウンド。イメージしてたよりもポリシックスとかに近いですね。

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--Man Or Astroman?

 

 

 この辺りで、テントの物販コーナーに何も出て来ないのでおかしいなと思う。声がかき消されて会話が難しいので、紙にウォーロックスのシャツが欲しいよ~と書いて、そのへんにいたおばさんに「まだなの?ないの?」と訊ねてみる。するとメンバーのEarlさんがこちらに来て、鍵を開けて持って来るから待ってなさい的なことを言う。全然聴き取れないけど。何やら白いシャツを持って来て$10で(たぶん汚れてたので)売ってくれたのであった。

 

 Man Or~が終わると即座に前の方へ。実は、この頃になると天候が土砂降りで足元もドロドロになっていたのだが、人々は避難するようにテントに集まっていたようである。

 

 昨日のSilever Applesであれだけ空いていたのだから、Warlocksの時も裏がディアハンターだからきっと大丈夫だろうと思っていたが、天候のせいもあってか、空いたのはほんの一瞬だけだった。事前に近づいておいてよかった。そんなこんなで僕は大本命を前に無事最前列を確保したのだった。

 

 

 

 ウォーロックスのセッティングが始まる。自分が彼らを目の前で見る日がこんなにも早く来ようとは。あのボビー・ヘックシャーが目の前にいるのである。

 

 

 

 赤く暗い照明に包まれてボビーによる陰鬱なグレッチのダウンストロークで始まったのは”Red Camera”。ボビーのこういう、孤独に俯いたようなギターの特徴的なフレーズは、ウォーロックス・サウンドを象徴する一要素となっているように感じられる。(自分はこういうダウンストロークだけでクリシェする音がかなり好きらしいのだが、自分でなかなかグッと来るものが発明できなくて悔しい限りである。閑話休題。)

 

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--The Warlocks

 二曲目は”Isolation”。LIVEの定番ソングにして、最近特に気に入っている曲でもある。思えば、ここしばらくセット・リストの定番曲を中心に聴いてきたのは正解だった。しかし、一番前で聴いて損なことは歌が聞き取りにくいことかもしれない。

 

 「The flowers in bloom but it’s meaningless unless I see you there.」

 

 女々しく弱々しい声、一人取り残されたような寂しんぼな精神世界、されど土台はガッチリ筋肉質なのが彼らのサウンドである。『Heavy Deavy Skull Lover』から”Zombie Like Lovers”、『Surgery』から”Come Save Us”といったメランコリックながらもパワフルなナンバーで足下が固まっていく。

 

 「It’s time to bring back to your heroes.」

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 正直まだ僕はノリきれてなかった。最前列特有の爆音に身を委ねる快楽と写真を撮る作業とのバランス感覚の難しさから、精神のポジショニングに悪戦苦闘していた。

 さて、これ以降はドラッグ・ソングの嵐である。『Surgery』~『The Mirror Explodes』までのここしばらくの彼らのアルバムは、まるで内界の闇の中へ深く潜り込んでいくような美しく狂気的な要素が目立つ。自己崩壊の寸前まで精神の深淵を彷徨い歩く幻覚体験を描いているのだろうか。そんな暗黒サイケデリア街道をまっしぐらなウォーロックスであるが、彼らの根っこにある退廃は実はもっとシンプルにフィジカルである。出発点は勿論ヴェルヴェッツ~スペースメン3の流れを汲んだ只管退廃的でノイジーなジャムだ。そして、日本国内盤も発売され、彼らの存在感を際立たせたロックンロール・アルバム『Phoenix』の収録曲も、やはりフィードバック・ノイズの酩酊感を容赦なく追求しており(Sonic Boomも録音に参加したようだ)、非日常的な身体感覚を益々加速させたがる奔放ぶりは変わらずだ。そのスタンスは、歌詞におけるボビーの言葉選びも含めて、俗世のスタンダードからすれば相当にシニカルな連中として映るぐらいには「イカレて」いるのだが、そこに鳴らされているダンサブルなビートやリフ、そしてメロディは、ロックンロールとして至極単純な意味でクールであり、そしてポップですらある。

 

 “Hurricane Heart Attack”、そして、”Shake The Dope Out”。いずれもフェスティヴァルに持って来いのロックンロール・ナンバーである。ぜひとも一聴していただきたい。うんざりするような人生。黒衣をまとったハリケーンに飲まれるのもアリだろうか。Dopeに溺れて踊り明かす日々もアリだろうか。緊張が解けて少しずつノッて来る己がいた。

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 “Dope Feels Good”。最初何の曲か解らなかった。覚えやすいリフなのだが、”Shake~”などに比べてこの曲のトーンはもう少し軽やかなイメージだったのだ。ところが音源よりもよほどヘヴィな爆音でアンプから鳴らされるリフがそこにはあった。このあたりでようやく轟音の中にあっても歌声が体で感じ取れるようになって来る。「ヤクがいい感じ」と歌うボビーの甘い声(そういえば彼の声は話し声もかなりのハイトーンなので驚いた)。たまらない。全神経系がそれに反応していた。

 

 ここからラストまで”Caveman Rock”、”Angry Demon”など、LIVEの定番曲による怒涛の流れが続く(セット・リストには”So Paranoid”とあるが、確かやらなかったはずである。逆にセトリに書かれていない”Warhorses”が確か演奏されていた)。パワフルなビートとヘロヘロなメロディが見事に合わさった初期からのドラッグ・ロックで会場を飲み込んでいく。気持ちいい。

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 ラストはヒプノティックなベースのループにギターが重なって酩酊し、高揚し、上昇し、ぶっ飛んでいく”Inside Outside”。目眩がしてくるほどフラフラのヴォーカルに無骨でファズの音。聴いている自分の意識は朦朧としていこうというのか、それとも覚醒していこうというのか。いずれにせよ快感に身を委ねたい本能的欲求から逃れることは出来なくなる。ダウナーながらゴキゲンな一曲。最後はディレイ・ツマミの操作で激しく回転するギターのノイズ音だけが残された。

 

 セット・リストをもらっている人がいた。「おっ」と思っていたら、ベースの方からも欲しいかとお声があったので目の前でイエスと叫んだらくれた。運が良かった。

 

 それにしても、あっけなかった。まだ物足りない。このバンドをもっと見たい。”It’s Just Like Surgery”も、”We Need Starpower”も、”Moving Mountain”もまだ聴いていないじゃないか。もっとエンジョイしたい。今度はもっと落ち着いて堪能したい。そんな風に思った。でも、ファンとしてそこまでマニアックなわけでもないのが自分である。もっと彼らの魅力を深く感じ取って愛せるようになりたいものだ。

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 ウォーロックスの次に来るのがSPECTRUMなのだから、このフェスティヴァルはとんでもない。機材チェックの途中、SONIC BOOMはシンセサイザーの音がきちんと鳴らないのか少し苛立った様子で、何度も何度もスタッフの女の人を呼び出して注文をつけていた。四苦八苦した末、数分して、エンジニアと思しき男がケーブルの接触を調整したことで事なきを得たようだ。ソニックが安堵の中笑顔を見せた。

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 結論から言えば、フェス最大の快感を得た瞬間は彼らの”Sucide”の最中であったかもしれない。序盤はソニックによる低音弦のドローンなリフを核に、穏やかで心地良い空気が生み出されていた。極限まで無駄な遊びや肉体性を削いだようなリズム、小さく煌めくギターの単音、反響し誘い込むようなソニックの声。計算された単調さだからこその、陶酔的なムードを作り出される。中盤の”When Tommorow Hits”などは特に美しかった。

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--SPECTRUM

 

 しかし、やはりその真の魅力は最後の二曲、すなわち”Revolution”およびトドメの”Suicide”のフィードバックの大洪水の中で発揮されたように思う。言うまでもないが、どちらも、スペースメン3の3rdアルバムの頃、すなわちソニック・ブームことピーター・ケンバーの唯一無二のセンスが花開いた頃、そして同時にジェイソンとの関係が崩壊へ向かい始めた頃の楽曲だ。

 

 当然だが、若かりし頃のソニック・ブームの姿を僕が見てきたわけじゃない。だけどそれら一連の出来事は、恐らく彼がサイケデリック・ミュージックの真髄に接近していくための大きな契機として到来していたことは想像に難くない。

 

 

 ただ「ドラッグのために音楽を作れ」。ひたすらその境地に向かう迄に様々な無茶をやらかしてきたであろう、若きソニックの濁流のようなノイズを希求する強き青い衝動の名残りが、この曲には未だ強く刻まれているに違いない。

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 バンドのバックに映し出される美しい光の世界に呼応するように、サイケデリック・フリークたちの魂は「天国に近い場所」を目指し、極限まで高いところへ飛翔しようとしていた。20年以上もの時を経てなお未だ歌われ続ける「革命」到来の宣言を経て、スペクトラムは、さあ今まさに音に飲まれて死のうと言わんばかりのフィードバック・ノイズの渦の中で最高の「昇天」を果たすべく、”Suicide”を掻き鳴らした。もう誰にもソニックを止められない。

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 このノイズは何故こんなにも心地良いのだろう。ファズの上から更に何重にも加工された強烈なエフェクトのギターとドラムの音がその境界線があやふやなほどグチャグチャに混ざり合い、今が始まって何分なのかも解らず、始まりも、終わりも、魂が実際に涅槃の境地に至るまで、どの瞬間に訪れるのか見当もつかない。そんな音作り自体は、このフェスティヴァルではありふれていた。スペクトラムの”Suicide”は、そんな中でも激しくも何処か優しい、そのまま全身全霊を委ねて、一人この光の束の中に閉じ込められてしまいたいと思えるほどの快楽だった。

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 ベースの3弦が切れる。少し驚いた。されど演奏は続く。ノイズは増幅され、心は高まり続ける。もっともっと光のある方へと。ソニックはこの日も、恍惚とした顔でギターを弾いていた。その音と、彼の気持ちに、寸分のズレも存在しないのであろう。彼は頭から爪先まで、自己の全存在を、一体となってサイケデリック音楽に捧げているのだ。それを説明する言葉は芸術家でも廃人でも先導者でも何でもいいのだ。これがピーター・ケンバーという人間が選んだソニック・ブームという生存の方法なのだから。心からリスペクトしよう。

 

 メンバーはノイズを残したまま立ち去る。終わりのない音。いや、終わらないで欲しい。そしてもう一度現れる。もう一度爆音を奏でる。終わりのない輪廻の中で転生し、そしてまた次の昇天を準備するために。何度でも死のうではないか。何度でもこの昇天を体感しようじゃないか。是非また、日本に来ていただきたい。スペース・ロックは不滅である。

 

 

 テントの中にいると忘れてしまうが、外に出ると地面が雨でビチャビチャになっていた。ぬかるみ方が尋常ではなく、ズボンを両手で持ち上げながら、ランニングシューズを泥で汚しながらタクシー乗り場に向かった。捕まえるのは大変だったが、何とか良いオースティン・キャブをゲット。イエローキャブよりこっちですね。