けおされた

mind manifesting. (自分の非日常について書きます)

AUSTIN PSYCH FEST 2013に行ってきたよ ④

 AUSTIN PSYCH FEST 2013に行ってきたよ④

 2013/4/28(日) 自然に還れの巻

 

 流石に疲れてきていたが、三日目のタクシーに乗る。

 

 ホットドッグが一番リーズナブルとみて、BLACK REBEL MORTORSYCLE CLUB DOGなるものを食べる。味は、それほど。

 

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 朝からキャンプ場から出て来た変な青年にハイテンションで話しかけられる。二人組で、テンションが高いのは一人だけだった。日本から来たと説明し、早口をやめてもらって、聞いてみると「L●D持ってねぇ!?」とのこと。

 

 いや持ってねぇよ!持ってそうに見えたか!?俺。

 

 まあ、●ュルームでもD●Tでも何でもそういうゴニョゴニョはそこにあるなら欲しいアレかも知れんですけれどもね。ボクちゃんは持ってませんよ。そう答えると彼らは、「手に入ったらくれよな!」と言って去っていったのだった。

 

流石フェスティヴァルだけあって、ユニークな奴がいるもんである。

 

 

 湖畔ステージの近くには内側に鏡が張り巡らされた小部屋みたいなものが作って置いてあり、中で写真を撮るとたいへん面白いのだが、それがこの日は何者かに占領されていた。

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 よく見ると見覚えのある牛さん。そう、昨日の牛さんである。

 

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 いつの間にか変わり果てた姿になって。

 

 

 The Laurelsとか言うバンド。インディー・バンド然とした若々しい手触りがあって良かった。

 

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--The Laurels

 

 期待株であったELEPHANT STONE、本音を言えば、LIVEよりはCD音源のほうが好きです。見た位置が悪かったのかも。もしくはテントステージの方が合っていたかもしれない。

 

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--ELEPHANT STONE

 間奏の途中でループに入るとキーボードに(多分だけど)ベース音を任せ、ベースからシタールに持ち替えて深い深い精神世界に入ってゆく。ヒンディー・ロックと自称する彼らのメロウで美しい黄金色のサウンドは、間違いなく強烈なトリップ感をもたらすが、決して取っ付きにくいものではない。

 

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 せっかくなので、このMVを見よ。

 


 Elephant Stone - Setting Sun // Official Video - YouTube

 

 この後何故か僕は憂鬱に襲われてしまって、しばらく酒を飲みながら途方に暮れていたのだった。もううんざりだ、誰とも関わりたくない、今日はもう誰も話しかけないで欲しい。そんなことを思いながら、隅っこのほうでブツブツ下を向いて独り言を漏らしていたのだった。幸いにも、この時間は誰とも会うこともなく無事やり過ごせた。

 

 もう帰国もしたくないし、生きていたところで何もいいことなんて無いというのにこんなところで何をしてるんだ俺は、とかなんとか、ひたすら光のない考えを巡らせつつも、Levitation Tentでは見逃せないバンドの出番が近づいていた。

 

 そう、知る人ぞ知る暗黒幻覚音楽集団(何それ)、THE CULT OF DOM KELLERである。すっかり元気がなくなっていたが、それがこのバンドの場合は逆に良かった。

 

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 --THE CULT OF DOM KELLER

 テンションがどん底だったので少し離れてみていたのだが、終わりのない迷路の中に引きずり込むようなダウナーなサウンドに一気に取り憑かれてしまった。無に溶けていくような純粋な暗闇は、思考でゴチャゴチャに乱れた暗雲から魂を解き放ってくれる。鏡を見たわけじゃないが、僕の目と口は半開きの状態になって、その重たいリズムに身を委ねていたであろうと思う。全てを忘れて音の世界に閉じこもってしまいたい。そんな僕な期待に答えてくれる、ダークでディズィーな幻覚サウンドだった。音源よりも格段にトリッピーでカッコいい彼らの演奏は、個人的にベスト5に入るインパクトを持っていた。

 

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 ここでビリーからグミをもらってもぐもぐしていた時に、日本語を話せる二人組と出会ったのでベラベラ喋っていたのだが、THE CULT OF~が余りにも良かったせいかは解らないが、僕はこの時異様なほど躁転していた。社交性とは程遠い僕が、初対面の人とベラベラと調子よく喋っているのである。

 お話の途中、朝であったL●Dの青年がまたやって来たが、まだ摂取出来ていないらしい。たいへん悔しそうにしていた。

 見知らぬおっさんたちと合流した僕は、踊りながらRoky EriksonのLIVEを観ていた。お馴染み13th Floors Elevatorsの楽曲が演奏される中、プラスチックのコップでエレクトリック・ジャグの真似をしていた。アホである。貴重な機会なんだから、もっとじ~っと目に焼き付けなよ。そうは思いつつも、酔っ払いながらその時間を楽しんでいた。13thフロアーエレヴェイターズはホンマ最高の音楽やでぇ、と。

 

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--Roky Erikson

 

物販にTシャツを買いに行くために彼らと別れた後、The Black Angelsを聴きに来た。このワイルドながらもデロデロなサウンドがたまらない。サイケデリック・バンドとしての完成度の高さというか、テキサスのガレージ・サイケ音楽に興味ない人にも一聴していただきたいほど現代に唯一無二のかっこいいバンドである。

 

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--The Black Angels

 

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 こちらはブラック・エンジェルズ・ドッグ。

 

 というわけで、勿論聴けて良かったのだが、新譜をまだ聴いていない上に途中で抜けだしてSwedenのアフリカン・サイケ集団Goatを観に行かねばならなかった俺は、その真の凄さをエンジョイするまでもなくReverbarationステージを後にしたのであった。ステファニーのどんどこドラムをもっとじっくり聴きたかったよ。

 

 湖畔ステージの近くの鏡の小部屋がどうなってるかと思いきや、牛さんがいなくなっていたのでまたちょっと遊んでみた。すると突然上半身裸の男が話しかけてきた。

 

 「お前、写真撮りたいのか」

 

 英語での会話に苦労した後、この男が写真を俺の撮ってくれた。端っこの方に立って外側から撮ると合わせ鏡の作用で自分がたくさんいるみたいに映るらしい。

 

 両親がともにメキシコ系だというテキサス人の彼は、日中色んな奴を撮影したんだと言って俺に色んな写真を見せてくれた。

 

 「この笑顔の奴ら見ろよ、こいつはLを、こいつはXをキメてる。」

 

 おいおい何だよ。俺の知らないところで楽しいことしやがって。まあ、個人的にそんなものもらってもセットが最悪だから絶対バッド入る…とかそういう問題じゃないですが、どっかにあるんですね、そういう場が。何処か知りませんが。

 

 そして俺はこの上半身裸のワイルドな男と一緒にゴートを観に行った。マジでいいバンドだぜと勧めてあげた。

 

 

 男が踊り出したので、俺もアホみたいに踊っていた。ちょっと離れて観ていても充分にアガるほど、奴らの音楽はエネルギッシュだった。

 

 ドンダガドンダガとアフリカンテイストなドラミングに、鳥の鳴き声みたいなファズサウンド、雄叫びのようなヴォーカルが絡まって舞い踊る。気付けばアホみたいにハイになっていた。多分このフェスティヴァルで一番変な動きをしてしまっていたのがこのバンドの前である。

 

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--GOAT

 このレイクステージの向こう岸には、座って眺める僕に何かを訴えてくるかのような森が見える。流石に夜になるとそれは見えないのだが、そんな圧倒的な自然の歌声が響き渡るこのステージは、この擬似部族集団の儀式の場にはもってこいの場所であった。

 

 ケルズの書のごとし森羅万象のほんの一点としてしか、流転する万物の一刹那の中にしか見出されない自分を痛感しつつ、人間は、意味ありげな幾何学文様と極彩色を地球上のアチラコチラに描き、一定のリズムで打たれ続けるビートの中で精神集中することで己が魂を高ぶらせ、直観的体験の中を経て生と死の真理に飛び込むことで浄化されようと四苦八苦してきたのだ。と、僕は思っているのであるが、それが真理か神聖か正義かはさておくとしても、兎にも角にも、人間が古来より繰り返しやってきた手法というのは、人をこの呪縛から解放するという至極単純で感覚的な意味においては、恐らく未だ有効であると思われるのであった。だから、自分はこういう音楽性にどうしても弱いのである。

 

 もうちょっとアホみたいな言い方をすれば、自然回帰フェチなのである。そんなもん言うまでもなく文明人特有のある種のオリエンタリズムなのだが。しかし、そういった原始的衝動なしにどうやって音楽が作れようか。いい加減、己が獣であると知るがいい。

 

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 青い照明の中、轟くような演奏はブレることなしに雄叫びは繰り返され、彼らは去っていった。

 

 

 さて、最後に僕はClinicを観に行った。また親父どもや日本人がいたので挨拶した。もう本気で疲れていたのだけど、取り敢えずゆらゆら揺れていた。生々しいのか機械的なのか、寧ろそのボーダーラインにあるような奇妙な音を鳴らす、怪しいマスク集団のように見えた。

 

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--Clinic

 日本語を喋れるうちの一人が、LIVE中ずっと女(去年もいたらしい)に「セックスしよう」と誘われていて困っていたそうだ。変な奴が多くて楽しい。他人事だから言うのだが

 

 その男とぼちぼち喋りながら、僕は空港のそばの広大な自然の中に作られたVenueを後にした。翌日のオースティンの空港には、他にもAPF帰りと思しき人達を見かけた。何はともあれ、無事目的のひとつを果たすことが出来たのであった。